管弦楽曲のなかで、もっともクラシック音楽を身近に感じられる「室内音楽」。
室内楽曲とは、大規模な人数編成のオーケストラとは違い、25人以下の小規模な人数編成の管弦合奏のことです。
海外では、「Chamber music (チェンバー・ミュージック)」と呼ばれています。
室内楽曲は、劇場などで演奏することを目的としておらず、宮廷や教会の広間といった小さな空間で演奏するために生み出された少数楽器による重奏の音楽のことであり、ときには声楽が入ることもあったそうです。
室内楽曲の特徴
室内楽曲とは、古典派音楽の時代に成立された25人以下の小規模な人数編成のクラシック音楽のことです。
室内楽曲自体は、既に16世紀半ばから存在していたのですが、17世紀初頭から18世紀半ばにかけてヨーロッパ全土で風靡したバロック期になると、
・教会で演奏される音楽
・劇場で演奏される音楽
・王侯貴族の館にある小規模な部屋で演奏される音楽
このように、音楽が演奏される場所に合わせて作曲されるようになりました。
代表的な室内楽曲
ベートーベン 弦楽四重奏曲第1番
弦楽四重奏曲第1番は、1798年から1800年にかけてドイツの作曲家 ベートーベンによって作曲され、1801年に出版された「弦楽四重奏曲」の1曲目です。
もともとは、第3番ニ長調が最初の作品だったのですが、弦楽四重奏曲を出版する際に、盟友のヴァイオリニスト シュパンツィッヒの勧めによって、第1番へ長調を持ってきたと言われています。
2楽章を除いて、全体的に朗らかで楽しそうな曲風を持ちながら、細部までよく練られた書法によって、ほどよく引き締まり充実した作品となっています。
エドワード・エルガー 「朝の歌」
イギリスの作曲家 エドワード・エルガーが、1889年から1890年ごろに作曲した「朝の歌」は、ヴァイオリンとピアノのための楽曲です。
のちにエルガー自身によって、管弦楽へと編曲されたため、クラシック音楽を嗜む方は、こちらの作品のほうが聞き慣れているかもしれませんね。
清々しい旋律が心地良い「朝の歌」は、まさに優雅な朝のひとときにピッタリな音楽です。
室内楽曲の魅力
クラシック音楽といえば、交響曲や協奏曲などのダイナミックで華やかな演奏を思い浮かべる方も多いですが、クラシック音楽をもっと身近に感じたいと思ったときは、室内楽曲に触れるのがおすすめです。
けれど、現代の室内音楽は本来の室内音楽とは少し違い、「2人から25人以下の演奏者による楽器を中心とした音楽」が室内楽曲に該当するとされています。この機会に室内楽曲に触れ、クラシック音楽とはどのようなものかを肌で感じてみませんか。
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