オーケストラをバックにソリストが優雅で華麗な演奏を繰り広げる「協奏曲」。
協奏曲は、管弦楽曲のなかでも一段と華やかな舞台として、クラシック音楽愛好家たちのあいだでも高い人気を誇っています。
協奏曲の特徴
協奏曲とは、オーケストラと「ソリスト」と呼ばれる独奏者または独唱者が競演する器楽曲のことです。
オーケストラをバックに卓越した華麗なるテクニックでヴァイオリン、ピアノ、フルート、ホルン、チェロなどの楽器をソロで演奏する姿は、クラシック音楽のなかでも1位2位を争うほどの人気を博しています。
現在世界各国で演奏されている協奏曲のほとんどが、交響曲で見られるソナタ形式の第3楽章を除いた3つの楽章で構成されており、それぞれ「急‐緩‐急」のテンポで音楽が進んでゆきます。
協奏曲の形式について
協奏曲の形式は、基本的に3つの楽章によって構成されており、
・第1楽章は基本的にソナタ形式である
・第1楽章では、オーケストラが主題を演奏した後、ソリストが登場してもう1度同じ主題を演奏する
・第1楽章の終わりでは、ソリストが自由に技巧を凝らした演奏をする「カデンツァ」がある
などの特徴があります。
ただ、ロマン派音楽以降、自由な楽曲構成が見られるようになり、楽章が1つしなかいものや楽章が4つある大規模なものまで、さまざまな形式の協奏曲が誕生しています。
代表的な協奏曲
ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲「四季」
独奏協奏曲の形式を大成させたバロック時代の作曲家 ヴィヴァルディは、J.S.バッハに多くの影響を与えた人物のひとりです。
なかでも、1725年に出版されたヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」における第1番の楽曲「四季」より「春 (La Primavera)」は、第1楽章で待ちに舞った春の到来に喜び歌う愛らしい小鳥たちや植物たちを襲う春の嵐の様子が描写されています。
この音楽は、「四季」というタイトルのとおり、全4曲からなるヴァイオリン協奏曲であり、それぞれの音楽に様々なドラマを感じることができる人気の高い作品です。
ショパン ピアノ協奏曲第1番
ポーランドの作曲家 ショパンが作曲した「ピアノ協奏曲第1番」。
この協奏曲は、2曲のピアノ協奏曲のうちの1つであり、過去に“ピアノの独奏に対して、あまりにもオーケストラが伴奏に徹し過ぎているのではないか”と批判を受けたこともありました。
協奏曲では、オーケストラとソリストの絶妙なコンビネーションを楽しむ管弦楽曲でもあるため、もしかしたらピアノとオーケストラ、2つの音色が絡み合うことの無いこの作品に抵抗を感じる人も多かったのかもしれませんね。
けれど、ショパンの作品のなかで最も有名なピアノ協奏曲であることには間違いなく、作曲された当初からたいへんな人気があったとされています。
協奏曲の魅力
クラシック音楽のひとつ「協奏曲」は、オーケストラとソリストの合奏を心ゆくまで堪能できる華やかな楽曲のことです。
日本では「協奏曲」という名で親しまれていますが、海外では「コンチェルト」と呼ばれ、16世紀ごろから大勢の音楽好きのあいだで親しまれてきました。
協奏曲には、ソリストとオーケストラが合奏する「独奏協奏曲」と複数の独奏楽器郡がオーケストラと協奏する「合奏協奏曲」の2種類ありますので、この機会に2つの協奏曲を聴き比べてみてはいかがでしょうか。
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