演劇と音楽によって物語が展開してゆく舞台音楽「オペラ」。
日本では「歌劇」と呼ばれ、多くのクラシック音楽愛好家たちのあいだで親しまれています。
芝居とは違い、歌によって物語が進んでゆくオペラは、劇中のたわいもない日常会話にまで伴奏をともなう歌で表現されるため、オペラを聞き慣れていない方にとっては、ちょっぴり不自然に感じるかもしれません。
ところで、なぜオペラの多くが、会話と歌を分けて物語を進めていかないのかと不思議に思ったことはありませんか。
オペラの特徴
ルネサンス期のイタリアでは、当時フィレンツェの貴族や芸術家たちのあいだで、古代ギリシアで演じられていた悲劇を復活させようという活動が行われ、このとき誕生したのが「オペラ」です。
オペラは、当初貴族階級向けの娯楽として演じられていたのですが、地中海貿易などで商人の力が強まっていたヴェネツィアにて、入場料を支払えば誰でも入れる公開のオペラ劇場がオープンしたことで、イタリア全土で空前のオペラブームが起こりました。
芝居とは違い、伴奏をともないながら会話をするオペラでは、伴奏による効果によって表情が豊かになったり、言葉がより印象的に聞こえるようになったりします。また、その歌声が訓練に訓練を重ねたものならばオーケストラによって奏でられる美しい音楽と絶妙に絡み合い、登場人物の心に秘められた内なる声を聴衆へと効果的に伝えることができ、芝居とは違った魅力的な舞台を心の底から楽しむことができます。
代表的なオペラ
プッチーニ 「蝶々夫人」
イタリアの歌劇作家 プッチーニが、もっとも意欲的に創作活動をしていた時期に作曲した「蝶々夫人」。
この作品は、もともとデヴィッド・ベラスコ原作の小説を、ジョン・ルーサー・ロングが戯曲家した演劇であり、イギリス・ロンドンでこの芝居を見て、オペラ化を構想したとされています。
このオペラは、1900年ごろの長崎県が舞台のため、劇中には日本の民謡が取り入れられています。
物語は、長崎の芸者 蝶々さんがアメリカ海軍士官 ピンカートンと恋に落ちるのですが、裏切られてしまうという愛の破たんをテーマとする悲劇です。
日本を舞台としているため、オペラにあまり馴染みのない日本人でも十分に楽しめる作品です。
ビゼー 歌劇「カルメン」
フランスの作曲家 ビゼーによって作曲されたオペラ「カルメン」。
この作品は、プロスペル・メリメの小説「カルメン」がもとになっており、アンリ・メイヤックとリュドヴィク・アレヴィによってリブレットが作られました。
「カルメン」は、セリフで進行してゆくフランス語のオペラ・コミック様式で仕上げられているのですが、これまでのオペラ・コミックは軽快な喜劇が主流だったのですが、ビゼーの「カルメン」は、とてもドラマティックで情熱的な歌劇となっています。
オペラの魅力
オペラは、クラシック音楽のなかでも珍しい演劇と音楽によって物語が展開してゆく舞台音楽です。
歌によって物語が進んでゆくため、オペラに馴染みのない方にとっては、ちょっぴり抵抗を感じるかもしれませんが、ミュージカルやクラシックバレエのように演劇と音楽で表現される音楽はたくさんあります。
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