声楽曲
楽器のみで演奏される「器楽曲」と対を成す「声楽曲」。
声楽曲とは、歌曲やオペラ、カンタータなど、人の声による音楽のことです。
声楽曲では、たびたび楽器伴奏が加わることがありますが、これは楽器の音色だけでは表現することができない人間の悲哀感や悲壮美、崇高美などを人の声によって表現することで、作曲者が作品に込めたメッセージや物語を直接肌で感じてほしいという願いが込められています。
声楽曲の特徴
クラシック音楽では、声楽曲よりも器楽曲のほうが、圧倒的に作品数が多くなっています。
その理由は、器楽曲のほうが、楽器そのものの音色や響き、何種類もの楽器を組み合わせたときに感じる音色の力強さなどによって、醸しだされる雰囲気や情緒、劇性などの個性があるからです。
けれど、クラシック音楽にあまり詳しくない方の場合、楽器のみで表現される器楽曲を普段慣れ親しんでいる歌もの感覚で捉えようとしてしまうため、『表現が抽象的で曖昧な音楽』『何を表現しているのか分からない』など、「クラシック音楽=難解な音楽」と捉えてしまうことも少なくありません。
しかし、声楽曲ならば、クラシック音楽にあまり詳しくない方でも、音楽に物語やメッセージ性を実感することができ、これまで敬遠してきたクラシック音楽がとても身近なものに感じられるようになります。
代表的な声楽曲
ヴェルディ 歌劇「アイーダ」より“凱旋行進曲”
19世紀を代表するイタリアの歌劇作家 ヴェルディ作曲の歌劇「アイーダ」は、ヴェルディが作曲した歌劇のなかでもトップクラスの人気を誇るたいへん人気の高い作品です。
「アイーダ」は、エチオピアの王女・アイーダとエジプトの勇将・ラメダスの悲恋物語を描いた第4幕第7場の歌劇です。なかでも、第2幕第2場で戦いに勝利した勇将・ラメダスが凱旋帰国のシーンで流れる「凱旋行進曲」は、トランペットによるファンファーレと弦楽器の掛け合いから始まり、そこに混声合唱を加えることで壮大なクライマックスを迎えることができます。
日本ではサッカーの応援歌となっており、この声楽曲を耳にすると、心のなかに何か熱いものが込み上げてくる方も多いのではないでしょうか。
シューベルト 「魔王」
オーストリアの作曲家 シューベルトによって作曲された歌曲「魔王」。
この作品は、幼少期のシューベルトがドイツの作曲家 ゲーテが作曲した同名の詩に触発され、短期間で完成させたシューベルトの出世作品です。
歌曲「魔王」の冒頭部分は、嵐のなか疾走する馬を表現するため、ものすごい三連符が連なり、言い知れない恐怖を感じ、ゾッとして鳥肌が立ちます。
怖いけれど、1度聴き始めると最後まで聴かずにはいられない不思議な魅力を持っているこの作品は、何度聴いても聞き飽きしない声楽曲として、いまもなお世界中の人々から親しまれ愛されています。
声楽曲の魅力
クラシック音楽のジャンルのひとつである「声楽曲」ならば、楽器のみで演奏される器楽曲では表現することができない人生の悲哀感や悲壮美、崇高美などを人の声によって表現することができるため、クラシック音楽にあまり詳しくない方でも、心の底から思いっきり楽しむことができます。
この機会に声楽曲に触れ、クラシック音楽の世界に飛び込んでみませんか。
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