器楽曲

クラシック音楽の演奏形式のなかでもトップクラスのジャンル数を誇る「器楽曲」。

 

器楽曲とは、人の声を一切用いることなく、楽器のみで演奏を行う音楽のことであり、主に管弦楽曲や室内楽曲、吹奏楽などの演奏形式がこれに当てはまります。

ただ、器楽曲の狭義では、ピアノなどの独奏楽器のための独奏曲のことを指すことが多いため、人によっては管弦楽曲や室内楽曲などと区別されることもあります。

 

器楽曲の特徴

 

器楽曲とは、声楽曲と対を成す存在の音楽であり、人の声を一切使用せずに弦楽器・管楽器・打楽器・民族楽器などの楽器のみを使って演奏される音楽のことです。

広い意味では合奏と独奏の両方で使われる言葉であるため、管弦楽曲に分類される交響曲や協奏曲、組曲なども器楽曲となります。

 

ただ、現代では小規模編成の音楽をあらわす言葉として用いられることが多く、ピアノやオルガン、ギターなどの独奏楽器のために作られた独奏曲のことを「器楽曲」と呼ぶ傾向が強くなっています。

これは、同じ器楽曲に分類される「管弦楽曲」や「室内楽曲」などと区別するためではないかと考えられています。

 

 

代表的な器楽曲

 

ベートーベン ピアノソナタ第8番「悲愴」

 

1798年、ドイツの作曲家 ベートーベンによって作曲されたピアノソナタ第8番「悲愴」は、自身が作曲した音楽作品のほとんどにタイトルを付けない彼自身が水から標題を考案したとされる数少ない楽曲です。

この作品は、ベートーベンが音楽活動をするうえで致命的な難聴を患ったときに感じた深くて大きな悲しみを表現しているとされており、緩急入り混じるテンポによって、悲しさや愴ましさといった感情の起伏を絶妙に表現しています。

思いっきり泣いて心をスッキリさせたいときにおすすめです。

 

J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲

 

ドイツの作曲家 J.S.バッハによって作曲された「無伴奏チェロ組曲」は、6つの組曲からなるチェロのための独奏曲です。

当時、チェロは伴奏としての役割を果たすためだけに奏でられていた楽器でした。けれど、強い創造性とこだわりによって数々の楽曲を生み出していたJ.S.バッハは、強い独創性をチェロに与えて日の目を見せようとしたのです。

彼が仕上げた6つの無伴奏チェロ組曲は、それぞれ個性が強く、すべてプレビュートと5つの舞曲で成り立っています。

そして1番から6番にかけて徐々に高度な演奏技術が求められるため、今では音楽的芸術性の高い楽曲として多くのチェリストたちのあいだで演奏されています。

 

 

器楽曲の魅力

 

現代では映画やゲーム、アニメなどで流れる音楽において、主題歌の歌声部分を楽器のみで演奏した作品も器楽曲または旋律のみの管弦楽曲として扱われるようになりました。

クラシック音楽を嗜みたいけれど、どのジャンルから始めたら良いのか分からないときは、映画やゲーム、アニメなどに使用されている身近な器楽曲から慣れ親しんでゆくのがおすすめです。

 

 

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