- フレデリック・ショパン
- ショパンの名曲10選
- ショパンの名曲1 幻想即興曲作品66
- ショパンの名曲2 ポロネーズ第6番 変イ長調 作品53 「英雄ポロネーズ」
- ショパンの名曲3 練習曲第3番 ホ長調 「別れの曲」 作品10-3
- ショパンの名曲4 ポロネーズ第7番 変イ長調 作品61 「幻想ポロネーズ」
- ショパンの名曲5 ワルツ第6番 変ニ長調 「子犬のワルツ」 作品64-1
- ショパンの名曲6 練習曲第12番 ハ短調 「革命のエチュード」 作品10-12
- ショパンの名曲7 ワルツ第1番 変ホ長調 「華麗なる大円舞曲」 作品18
- ショパンの名曲8 ノクターン第2番変ホ長調
- ショパンの名曲9 バラード第1番 ト短調 作品23
- ショパンの名曲10 ワルツ第9番 変イ長調 「別れのワルツ」 作品69-1
フレデリック・ショパン
フレデリック・ショパン(1810年3月1日-1849年10月17日)はポーランド人とフランス人のハーフで、前期ロマン派を代表する作曲家であり、名ピアニストです。
主にピアノ独奏曲(ソロ・ピアノ)の名曲を多数作曲し、その超絶的なピアノ技術と想像力により音楽界で偉大な作曲家、及びヴィルトゥオーゾ・ピアニストの一人として知られるようになりました。
その旋律の美しさは叙情詩的で繊細であるためピアノ曲でありながら詩的とも評され、人々はショパンのことを「ピアノの詩人」と称するようになりました。
ショパンは、小さな頃から神童と呼ばれ、7歳の時に最初の作品である(ポロネーズ第11番ト短調)を発表し、その一年後には演奏活動を始めるほどの才能と期待を背負っていました。
幼少期から呼吸器系が弱く病気がちであったためか、心の奥底にある感情や思いをピアノで表現することに類まれなる才能を発揮し、非常に優れた音楽遺産を生み出すことができました。
ショパンの生み出した楽曲は、深く鋭い旋律と流麗なリズムの組み合わせでありながらも感情的な穏やかさを持っており、その演奏は激しさと柔らかさが絶妙に調和した流麗なメロディーと独特な音楽的表現で人々を魅了しました。
半音階的和声法と対位法の調和を更なる高みへ作り上げて次の世代に向けてピアノ音楽に大きな足跡を残したのです。
抒情的な旋律とスピーディーなリズムを巧みに組み合わせていることも特徴的で、ポーランドの伝統音楽やクラシック、ロマン派などの要素を取り入れた素晴らしいハーモニーを生み出しています。それらは秀でた技術と深い感性を兼ね備えた楽曲であり、多くの人に愛されています。
ショパンの作曲数は250曲以上と言われており、そのほとんどと言っていい約230曲がピアノ曲となっていますが、最も多いのがマズルカ(民族舞踊曲)が58曲、続いてピアノエチュードが27曲、前奏曲が26曲、夜想曲が21曲、ポロネーズが16曲、バラード4曲、スケルツォ4曲、ロンド4曲、変奏曲4曲、即興曲が4曲、協奏曲が2曲、ソナタが3曲、その他の曲、室内楽や歌曲、バルカロールや協奏曲等があります。
ピアノ独奏が多く、未完成曲や紛失した曲も多いので正確な曲数が分かりにくいため、上記の各ジャンルの曲数も認識によりばらつきがあります。未完成や紛失作品なども合わせて全部で277曲と言う人もいます。
オペラ、オラトリオ、交響曲など、ピアノを伴わない曲を作ることはありませんでしたが、間違いなく19世紀最高の作曲家の一人です。
ショパン!19世紀において特別な存在感を放つ作曲家ショパンの生涯と名曲、それからその魅力を解説!雨だれ、革命のエチュード、英雄ポロネーズ‥
ショパンの名曲・代表曲
ショパンの代表曲は叙情的なメロディーと豊かなハーモニー、そしてよく半音階を使った冒険的な表現が特徴で、複数のセクションを持ちながらも様々なムードやテクスチャーを持つ拡張された形式を探求しています。
ピアノ独奏のための作品は複雑でヴィルトゥオーゾ的なパッセージや、作品に不可欠な独特の華やかさを備えており、オーケストラのための大規模な作品も多く、2つのピアノ協奏曲や多くの前奏曲とポロネーズ、さまざまなマズルカ、ワルツ、ノクターンがあります。
エチュード | ・練習曲第3番 ホ長調 「別れの曲」 作品10-3 ・練習曲第5番 変ト長調 「黒鍵のエチュード」 作品10-5 ・練習曲第12番 ハ短調 「革命のエチュード」 作品10-12 ・練習曲第13番 変イ長調 「エオリアン・ハープ」または「牧童の笛」 作品25-1 ・練習曲第21番 変ト長調 「蝶々」 作品25-9 ・練習曲第23番 イ短調 「木枯らし」 作品25-11 |
夜想曲 | ・夜想曲第1番 変ロ短調 作品9-1 ・夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2 ・夜想曲第7番 嬰ハ短調 作品27-1 ・夜想曲第8番 変ニ長調 作品27-2 ・夜想曲第20番 嬰ハ短調 「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」 |
ポロネーズ | ・ポロネーズ第3番 イ長調 作品40-1 「軍隊ポロネーズ」 ・ポロネーズ第6番 変イ長調 作品53 「英雄ポロネーズ」 ・ポロネーズ第7番 変イ長調 作品61 「幻想ポロネーズ」 ・アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22 |
プレリュード | ・前奏曲第4番 ホ短調 作品28-4 ・前奏曲第7番 イ長調 作品28-7 ・前奏曲第15番 変ニ長調 作品28-15 「雨だれの前奏曲」 ・前奏曲 嬰ハ短調 作品45 |
マズルカ | ・マズルカ第3番 嬰ハ短調(ショパン:3つのマズルカ 作品63-3) ・マズルカ第4番 ロ短調(ショパン:4つのマズルカ Op.33) ・マズルカ第5番 変ロ長調 作品7-1 ・マズルカ第23番 ニ長調 作品33-2 |
バラード | ・バラード第1番 ト短調 作品23 ・バラード第2番 ヘ長調 作品38 ・バラード第3番 変イ長調 作品47 ・バラード第4番 ヘ短調 作品52 |
ワルツ | ・ワルツ第1番 変ホ長調 「華麗なる大円舞曲」 作品18 ・ワルツ第6番 変ニ長調 「子犬のワルツ」 作品64-1 ・ワルツ第7番 嬰ハ短調 作品64-2 ・ワルツ第9番 変イ長調 「別れのワルツ」 作品69-1 ・ワルツ第14番 ホ短調 作品番号なし |
ピアノソナタ | ・ピアノソナタ第2番 変ロ短調 「葬送」 作品35 ・ピアノソナタ第3番 ロ短調 作品58 |
ピアノ協奏 | ・ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11 ・ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21 |
スケルツォ | ・スケルツォ第1番 ロ短調 作品20 ・スケルツォ第2番 変ロ短調 作品31 |
歌曲 | ・17のポーランドの歌 作品74 |
その他 | ・幻想曲 ヘ短調 作品49 ・幻想即興曲作品66 ・舟歌 嬰ヘ長調 作品60 ・子守歌 変ニ長調 作品57 |
ショパンの名曲10選
ショパンの名曲1 幻想即興曲作品66
Fantaisie Impromptu
「幻想即興曲」はフレデリック・ショパンが1834年に作曲したピアノ独奏曲です。
この曲は助手でもあり友人のジュリアン・フォンタナに献呈しました。
ショパンは自身の死後、未発表の原稿の公表は控えるように頼んでいましたが、フォンタナはショパンの明確な要望を受けたにもかかわらず勝手にこの曲を校訂して出版しました。
幻想即興曲はモシェレスの即興曲やベートーヴェンの月光ソナタ(嬰ハ短調)の要素を多く取り入れられており、ショパンがこの曲の公表を控えようとしていた一因として考えられています。
他にショパンの弟子であり、この作品の依頼主でもあるデスト男爵夫人の所有物として捉えていたからということも考えられています。
1962年にピアニストのアルトゥール・ルービンシュタインがデスト男爵夫人が所有していたアルバムから「幻想即興曲」の原稿を発見しましたが、フォンタナが出版した内容と原版の内容には大きな差異があったということです。
「幻想即興曲」はショパンの作品の中でも最も有名な曲の一つであり、最も演奏されている曲の一つになっています。
ショパンの名曲2 ポロネーズ第6番 変イ長調 作品53 「英雄ポロネーズ」
Polonaise no. 6 op. 53 in A flat Major “Héroïque”
ポロネーズ第6番変イ長調 作品53は、1842年にフレデリック・ショパンが作曲したピアノ独奏曲です。
通称「英雄ポロネーズ」と呼ばれており、「軍隊ポロネーズ」「幻想ポロネーズ」とともに非常に人気が高く、現在でも多くのピアニスト達の演奏のレパートリーとなっています。
この曲はショパンの友人でもあったオーギュスト・レオに献呈されました。
演奏には非常に高度な技術と偉大なヴィルトゥオージティが必要な曲で、有名なピアニストであるアルトゥール・ルービンシュタインは、かつてこの曲を「私の心に最も近い曲」と呼んだと言います。
この「英雄ポロネーズ」はショパン自身が付けた名称ではなく、近しい弟子たちの誰かとも言われていますが、現在のところ不明となっています。
【名曲解説動画】英雄ポロネーズ!ショパン人気の名曲を解説!ショパンにとってどのような年に書かれた?聴きどころは?
ショパンの名曲3 練習曲第3番 ホ長調 「別れの曲」 作品10-3
Étude Op. 10, No. 3
エチュード作品10第3番ホ長調はフレデリック・ショパンが1832年に作曲したピアノ独奏のための練習曲で、日本では「別れの曲」としても有名です。
ドイツの伝記映画「別れの曲」のメインテーマ曲として流れた「練習曲作品10-3」によって、日本で「別れの曲」と呼ばれるようになりました。
練習曲(エチュード)のタイトルの通り音楽観賞用の曲ではなく、ピアノの技術やテクニックを習得するための曲ですが、この曲の旋律の美しさ・甘く切ないメロディはクラシック音楽でも最高レベルの曲です。
友人でもあり作曲家・ヴィルトゥオーゾ・ピアニストのリストは、
「これほど美しい旋律を見つけることは、もう二度とできないことでしょう。」
と語ったと言います。
ショパンの名曲4 ポロネーズ第7番 変イ長調 作品61 「幻想ポロネーズ」
Polonaise-Fantaisie
幻想ポロネーズ変イ長調作品61は、フレデリック・ショパンが1864年作曲したピアノ独奏曲で、弟子のA.ヴェイレ夫人に献呈されました。
構成的には幻想曲に近く夢の中のような幻想的な世界とポロネーズの旋律やリズムなどの旋律的特徴の融合により、複雑さと入り組んだ形式から音楽家やピアニストらからの支持を得られるのに多くの時間を要しました。
ショパン自身でさえ作品の形式について理解するのに少し苦労していたようです。
この曲はショパンの作曲した最後の規模の大きなピアノ作品でもあり、晩年のもの悲しさ、孤独感が現れています。
ショパンの名曲5 ワルツ第6番 変ニ長調 「子犬のワルツ」 作品64-1
Valse No.6″Petit chien” Des-Dur Op.64-1
ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1 はフレデリック・ショパンが1846~1848年にかけて作曲したピアノ独奏のためのワルツで「小犬のワルツ」の愛称で知られています。
この曲はデルフィーヌ・ポトツカ伯爵夫人に献呈されています。
英語では「ミニット・ワルツ(一分間のワルツ)」の愛称でも親しまれていますが、ショパンは一分間で演奏することを意図していた訳ではなく、出版社が「小さなワルツ」の意味でつけたようです。
ショパンがこのワルツの着想を得たのは、恋人のジョルジュ・サンドが飼っていたプードルの子犬のマーキスが自分の尻尾を追いかけてグルグル回っていたのを見た時だと言います。
この曲はショパンが最後に書いた曲のひとつで、この時、彼の健康状態はすでに悪化しており、亡くなる前年の1848年にパリで行われた最後の演奏会で演奏されました。
ショパンの名曲6 練習曲第12番 ハ短調 「革命のエチュード」 作品10-12
練習曲作品10第12番ハ短調は、1831年にフレデリック・ショパンが作曲したピアノ独奏曲で、友人であるフランツ・リストへ献呈されました。
練習曲集(作品10)の12番目の作品で、「革命のエチュード」として知られています。
従来の練習曲、ツェルニーやハノンのような巨匠が書いた練習曲は、演奏家のテクニックの特定の側面についてより洗練させることを目的とし、技術的、ヴィルトゥオーゾ的な難易度の高い楽曲で、指や手、器用さの鍛錬に焦点が当てられ、音楽性、音楽的な発展性には乏しいものでした。
このショパンの練習曲は非常に特殊で、ショパンの練習曲を弾けるようになりたいがためにピアノの先生を探し、夢中で練習に励むピアニストが沢山いました。ピアノの技術的な部分もしっかり習得できるという練習曲としての基本的な部分も守っていながら、非常に魅力的な曲なのです。
それほど優れた曲であり、芸術の域にまで達した作品でもあります。
ショパンの名曲7 ワルツ第1番 変ホ長調 「華麗なる大円舞曲」 作品18
華麗なる円舞曲 変ホ長調作品18は、1833年にショパンが作曲したピアノ独奏曲集(ワルツ全3曲)です。
この曲は弟子のローラ・ホースウォード嬢に献呈しています。
このワルツ曲らは舞踏会やダンスのために作られたものではなく、理想的なコンサートワルツの形式として構成されており、華やかで豊かな旋律と躍動感の中で優美な世界を感じさせてくれます。
ショパンの曲の中でも大変人気のあるワルツで、ピアニストのレパートリーとしても多く演奏されています。
演奏の難易度としては上級レベルの技術を要する部分はほとんどなく、比較的経験の浅いピアニストでもこの華やかな曲を演奏することが可能なレベルで、中程度くらいだと思われます。
ショパンの名曲8 ノクターン第2番変ホ長調
ノクターン第2番変ホ長調 はフレデリック・ショパンが1831年から1832年にかけて作曲し、1832年に出版、フランスのピアノメーカー、プレイエルの社長カミーユ・プレイエルの妻マリー・プレイエル夫人に献呈したピアノ独奏用の夜想曲3曲のセットのうちの第2番で、夜想曲の中でも最も有名な一つとなっています。
マリーはベルリオーズの元婚約者でもありました。
このノクターンは甘美でムーディな旋律が繰り返され、非常に聞き心地の良い美しさが印象的です。
現在でも様々な編曲や編成で演奏されており、夜想曲の代名詞となっています。
ショパンの名曲9 バラード第1番 ト短調 作品23
バラード第1番ト短調作品23はショパンが1835年に作曲したピアノ独奏のためのバラードです。
ショパンは物語的内容の歌曲をバラッドと呼ばれていたことから着想を得て、抒情的な部分と劇的な部分の起伏に富んだ曲調をもつ物語的なピアノ曲にバラードと付けました。
このバラードはショパンがウィーンに8ヶ月滞在した後、パリに移った後の1835年に完成しました。ショパンはこの曲を駐仏ハノーファー大使のナサニエル・フォン・シュトックハウゼン男爵に献呈しました。
ショパンのバラードは、ブラームスやリストなどの多くの音楽家達に影響を与え、バラードというジャンルを確立させたと言えます。
ショパンの代表作品の一つとして数えられています。
ショパンの名曲10 ワルツ第9番 変イ長調 「別れのワルツ」 作品69-1
ワルツ変イ長調作品69第1番は、フレデリック・ショパンが1835年に作曲したピアノ独奏曲で、「別れのワルツ」として有名です。
かつてショパンが婚約していたマリア・ヴォジンスカとの別れにより名づけられたということですが、ショパン自身が付けた名前ではないようです。
曲調的にはエレガントでロマンティックであり、メランコリックでノスタルジックな雰囲気が漂い、切ない「別れ」というよりも「切なくも愛おしい想い出」のようにも聞こえます。
哀愁を漂わせながら余韻を残しての終わり方は、愛おしさを伝えたい想いが込められているようにも聞こえますし、美しい想い出だったという気持ちのようにも感じます。
セピア色の想い出の中に、ショパンのヴォジンスカへの想いの美しさと切なさが表現されているのかもしれません。
誰しもどこかで聞いたことがあるピアノの曲ばかり。
ショパンの偉大さを再確認できる10選だと思まいますが、曲の好みは人により異なります。
皆さんがショパンの名曲を10セレクトするとしたら、何を選びますか?
名曲ばかりで迷うこと間違いなしです。
しかし、ピアノだけでここまで素晴らしい曲にしてしまうショパンは、本当に天才です。
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