- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
- ベートーヴェンの名曲10選
- ベートーヴェンの名曲1 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
- ベートーヴェンの名曲2 ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調「クロイツェル」 作品47
- ベートーヴェンの名曲3 ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」作品73
- ベートーヴェンの名曲4 交響曲 第9番 ニ短調 (合唱付き) 作品125
- ベートーヴェンの名曲5 弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 作品131
- ベートーヴェンの名曲6 第8番 ハ短調「悲愴」 作品13
- ベートーヴェンの名曲7 ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 「月光」
- ベートーヴェンの名曲8 ソナタ 第29番 変ロ長調「ハンマークラヴィーア」 作品106
- ベートーヴェンの名曲9 交響曲第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55
- ベートーヴェンの名曲10 第5番 ハ短調 (運命) 作品67
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven 1770〜1827)は、ドイツの作曲家・ピアニストで、古典派とロマン派の過渡期を代表する西洋音楽史上最高の作曲家の一人として広く認められています。
ベートーヴェンの音楽はヨーゼフ・ハイドンやモーツァルトの古典派の伝統的な曲から発展し、自由と尊厳に対する情熱的で英雄的な性格を持っていることが感じられます。
曲調は構成的に革新的な技法と芸術的な表現力により非常に風格あるものになっており、力強く印象的です。
独自の芸術性や思想性、豊かな表現力の深さが存分に表現されており、際立った美しさを持ちながらも精神的な感性や驚きや嘆きを引き起こすものが備わっており、まるで人間の本質的なものが込められているかのようです。
ベートーヴェンは曲を緻密に構成しており、テーマやモチーフを繰り返し変化させながら展開し、劇的で感情的な表現を使いながら情熱的なメロディと穏やかなリズム、そして力強い和音を用いて聴衆の感情を揺さぶります。楽曲構造は長大で複雑な音楽のアーキテクチャを構築し、リズムとダイナミクスの多様性を活用しています。
ベートーヴェンの音楽は聴衆の心に深い印象を与える力を持っており、時代を超えて普遍的な価値を持ち続ける究極的とも言える存在感を持っています。
また、その音楽は古典派からロマン派へ至る過渡的な時代、ロマン派の主流となるメンデルスゾーンやショパン、リストらにも影響を与えました。
そして古典派からロマン派への時代へと一気に流れを変え、音楽におけるヒューマニズムと啓蒙という新しい語彙を創造し、100年余りの間その音楽思想の時代となりました。
ベートーヴェンが亡くなったのは史上最高の名曲と評価の高い「交響曲第9番」の完成から3年後になります。
交響曲第10番の作曲に着手していたといいますが、健康状態の悪化により進めることができなかったといいます。
ベートーヴェンの交響曲第10番。
いったいどんな曲をイメージしていたのでしょうか…。
クラシック界史上最高峰の作曲家の一人、ベートーヴェンの生涯56年の間に作品番号があるものだけで138曲、作品番号が付いていないものも含めると400曲以上あると言います。
ベートーヴェンの解説動画(ベートーベンの音楽は希望!ベートーヴェンの生涯とおすすめの名曲、そしてその魅力を紹介します!)
ベートーヴェンの代表曲
ベートーヴェンの代表曲には独特な個性を持つ楽曲がありますが、 非常に複雑な音楽性と印象深い美しいメロディーが特徴的です。 それらは徹底した即興演奏や変奏を取り入れ、繊細なイメージ表現を混ぜ合わせながらも往々にして複雑な構造を持つものが多く、長く深い音楽的な意味を持つ楽曲となっています。
更にベートーヴェンの楽曲は高い秩序と抑制された力強さを持ちながら、自由な表現を取り入れており、それらは現代の作曲家達にも影響を与える楽曲として非常に重要になっています。
ベートーヴェンの楽曲には非常に高い水準と芸術性があり、時代を超えて現在でも多くの人々が心から楽しむことができる名曲揃いとなっています。
ベートーヴェンの代表曲一覧
交響曲 | ・第1番 ハ長調 作品21 ・第2番 ニ長調 作品36 ・第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55 ・第4番 変ロ長調 作品60 ・第5番 ハ短調 (運命) 作品67 ・第6番 ヘ長調 「田園」 作品68 ・第7番 イ長調 作品92 ・第8番 ヘ長調 作品93 ・第9番 ニ短調 (合唱付き) 作品125 |
管弦楽曲 | ・「レオノーレ」序曲第1番 作品138 ・「レオノーレ」序曲第3番 作品72b ・序曲「コリオラン」 作品62 ・「ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い」 作品91 ・「アテネの廃墟」序曲 作品113 ・「命名祝日」序曲 作品115 ・「献堂式」序曲 作品124 |
協奏曲 | ・ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58 ・ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」作品73 ・ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61 ・ロマンス第1番 ト長調 作品40 ・ロマンス第2番 ヘ長調 作品50 ・三重協奏曲(ピアノ・ヴァイオリン・チェロのための)ハ長調 作品56 ・合唱幻想曲 ハ短調 作品80 |
室内楽曲 | ・弦楽四重奏曲(全16曲) ・第7番 ヘ長調(ラズモフスキー第1番) 作品59-1 ・第8番 ホ短調(ラズモフスキー第2番) 作品59-2 ・第9番 ハ長調(ラズモフスキー第3番) 作品59-3 ・第10番 変ホ長調(ハープ) 作品74 ・第11番 ヘ短調「セリオーソ」 作品95 ・第12番 変ホ長調 作品127 ・第13番 変ロ長調 作品130 ・大フーガ 変ロ長調 作品133 ・第14番 嬰ハ短調 作品131 ・第15番 イ短調 作品132 ・第16番 ヘ長調 作品135 ・弦楽五重奏曲 ・ヴァイオリンソナタ ・第5番 ヘ長調「春」 作品24 ・第9番 イ長調「クロイツェル」 作品47 ・チェロソナタ(全5曲) ・ピアノ三重奏曲 ・第5番 ニ長調「幽霊」 作品70-1 ・第7番 変ロ長調「大公」 作品97 |
その他の室内楽曲 | ・ホルン・ソナタ ヘ長調 作品17 ・六重奏曲 作品81b ・七重奏曲 変ホ長調 作品20 |
ピアノ・ソナタ | ・第8番 ハ短調「悲愴」 作品13 ・第14番 嬰ハ短調 「月光」作品27-2 ・第15番 ニ長調 「田園」 ・第17番 ニ短調「テンペスト」 作品31-2 ・第21番 ハ長調 「ヴァルトシュタイン」 作品53 ・第23番 ヘ短調 「熱情」 作品57 ・第26番 変ホ長調「告別」 作品81a ・第29番 変ロ長調「ハンマークラヴィーア」 作品106 ・第30番 ホ長調 作品109 ・第31番 変イ長調 作品110 ・第32番 ハ短調 作品111 |
その他のピアノ曲 | ・創作主題による15の変奏曲とフーガ(エロイカ変奏曲)変ホ長調 作品35 ・ディアベリのワルツによる33の変容(ディアベリ変奏曲)ハ長調 作品120 ・6つのバガテル 作品126 ・アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO.57 ・創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80 ・バガテル「エリーゼのために」 WoO.59 |
オペラ | ・歌劇「フィデリオ」作品72c |
その他の声楽作品 | ・劇付随音楽「エグモント」作品84 ・劇付随音楽「アテネの廃墟」作品113 ・バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43 ・オラトリオ「オリーヴ山上のキリスト」作品85 ・カンタータ「静かな海と楽しい航海」作品112 |
宗教曲 | ・ミサ曲 ハ長調 作品86 ・ミサ・ソレムニス ニ長調 |
歌曲 | ・連作歌曲集「遥かなる恋人に寄す」 作品98 |
ベートーヴェンの名曲10選
名曲揃いのベートーヴェンの作品の中からご紹介させていただきます。
ここでご紹介するベートーヴェンの名曲10選はおこがましくも管理人の独断と偏見によりセレクトしています。ご理解の上、お楽しみください。
※順不同
ベートーヴェンの名曲1 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
(Violin Concerto in D, op.61)
ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61は、1806年にルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが書いた独奏ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲で、1806年12月23日に10年以上の付き合いのある若きヴァイオリニストであるフランツ・クレメントによって初演されました。
この曲はベートーヴェンの中で最も叙情的な作品で威厳があり、唯一のヴァイオリン協奏曲として知られています。ベートーヴェンは交響曲やピアノ協奏曲、ピアノ・ソナタ、室内楽など多くのジャンルで多作な作曲家でしたが、当時最も人気のあった楽器でもあるヴァイオリンを使用した協奏曲を1つしか作っていませんでした。
・第1楽章の「アレグロ・マ・ノン・トロッポ(Allegro ma non troppo)」は、説明、展開、再現(コーダ付き)という古典的なソナタ形式で書かれています。
・第2楽章の「ラルゲット(Larghetto)」は2つの主題による変奏曲群となっています。
・第3楽章「ロンド:アレグロ」は、ロンド・ソナタと呼ばれることもある両楽章の要素を含むハイブリッドな形式です。
この作品はべートーヴェンの天才的な才能が現れている作品として評価されている曲の一つですが、最初から評価されていたわけではなく、現在のようなコンサートヴァイオリニストのレパートリーとして中心的な位置になったのはごく最近のことです。
ベートーヴェンの名曲2 ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調「クロイツェル」 作品47
(Beethoven Violin Sonata No.9, Op.47 ‘Kreutzer’)
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番作品47イ長調は、1803年に作曲されたピアノとヴァイオリンのためのソナタで、「クロイツェル・ソナタ」の呼び名で知られており、その技術的な難易度の高さと異例ともいえる長さ、規模が大きく非常に風格があるという特徴を持っています。
もともとはヴァイオリニストのジョージ・ブリッジタワーにのために作られた曲でしたが、ブリッジタワーがベートーヴェンが大切にしている女性のモラルを侮辱したため、仲違いとなってしまったと言われています。
そこで当時最高と称されていたヴァイオリニストのルドルフ・クロイツァーに献呈することにしましたが、クロイツァーは生涯で一度もこの曲を演奏することはなかったと言います。
この曲は3楽章からなり、ヴァイオリンのレパートリーの中でも難易度の高い作品の一つとなっています。
・第1楽章 アダージョ・ソステヌート プレスト
この楽章はヴァイオリンの独奏による4小節の緩やかな序章に始まり、ヴァイオリンとピアノの悠々とした流れ、その後に二つの楽器が燃え上がるように主題を炸裂させます。
・第2楽章 アンダンテ・コン ・ヴァリアツィオーネ
この楽章は主題と4つ変奏、そしてフィナーレは8分の6拍子のプレストとなります。
・第3楽章 プレスト
この8分の6拍子のプレストは、ソナタ形式のタランテラでテンポが速い中、時折緩やかな変化をつけて曲に高尚さを与え調和をとっています。
ベートーヴェンの名曲3 ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」作品73
(Beethoven, Concerto No. 5 in E-flat major op.73 “Emperor”)
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73は、大胆なメロディの中に壮大さと力強さ、そして英雄的な精神が垣間見れるピアノとオーケストラのための協奏曲です。
動乱の時期、ベートーヴェンの生涯の中でも最も生産的な時期の一つである1809年にウィーンで作曲されています。
ベートーヴェンはこの曲に新しいアプローチをいくつか施しており、「エロイカ」交響曲の冒頭の和音を思わせるような、変ホ長調の強烈な声明からカデンツァ(一般に、独奏協奏曲やオペラ等のアリアにあって、独奏楽器や独唱者がオーケストラの伴奏を伴わずに自由に即興的な演奏・歌唱をする部分wikipediaより)で入り、協奏曲からピアノとオーケストラの新しい形を作りました。
この古典派最後の偉大な協奏曲は「皇帝 協奏曲」と呼ばれており、現在も大変人気のある協奏曲ですが、この「皇帝」の呼称はベートーヴェンが付けたものではなく、この協奏曲を出版したイギリスのヨハン・バプティスト・クラーマーにその威厳と雄大な作風から付けられた呼称で以後、定着しています。
ベートーヴェンの名曲4 交響曲 第9番 ニ短調 (合唱付き) 作品125
(Symphony No. 9 in D Minor ‘Choral’, Op. 125)
交響曲第9番ニ短調作品125は4楽章からなる管弦楽曲でベートーヴェンの最高傑作の一つであり、交響曲としても歴代最高レベルの評価を得ている傑作です。
最終楽章にフリードリヒ・シラーの詩「歓喜の歌(An die Freude)」を全合唱と独唱で歌っていることが特徴的な作品で、「合唱交響曲」とも呼ばれています。
交響曲でありながらオラトリオの性格も有しており、保守的で冒険心のない聴き手には理解し難いと思わせるほどの新しい作品を世に送り出すことになりました。
この作品は最終的に30年以上の歳月をかけて作られていますが、ベートーヴェンにとって最後の交響曲であり、古典派とロマン派の間の重要な様式的橋渡しをするものとなりました。
「合唱交響曲」は、ブルックナー、リスト、マーラー、ワーグナーといった後に続く作曲家たちのインスピレーションの源となり、壮大で広々とした交響曲への扉を開ける重要な曲となったのです。
ベートーヴェンが重度の聴覚障害になってしまうことは有名な話ですが、この交響曲の作曲中から徐々に聴力を失っていき、初演されるころには重度の聴覚障害に陥ってしまいました。
聴覚障害は、作曲家、指揮者、ピアニストの全てに重大な影響がある障害ですので、それを理解しているベートーヴェンにとって、この作品にかける熱意と思いは相当なものであったことは想像に難くありません。
この曲が世界的に有名となる時には指揮ができなくなるほどの状態となっていました。
ウィーンでの初演では演奏が終わると聴衆の盛大な拍手が鳴り響きましたが、コントラルト歌手のカロリーナ・ウンガーがベートーヴェンの方を向いてくれるまで、聴衆がスタンディングオベーションをしていることに気がつかなかったと言います。
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ベートーヴェンの名曲5 弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 作品131
(Beethoven – String Quartet No. 14, Op. 131)
弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調作品131は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが亡くなる前年の1826年に書いた7つの楽章からなる後期弦楽四重奏曲の一つです。
その中でも弦楽四重奏曲最後の作品で、伝統的な形式の音楽とはかけ離れたというよりも超越的な発想で完成されています。
ハイドンやモーツァルトから古典的な弦楽四重奏曲を受け継ぎながらも考えうるあらゆる方法で芸術形式を根本的に拡大したのです。
この曲は後期四重奏曲の中でベートーヴェンが最もお気に入りでした。
畏敬の念を持って評価されてきた後期四重奏曲の中でも作品131は叙事詩的に雄大で、いままでの想像力と芸術性が到達した最高レベルの作品です。
ベートーヴェンの名曲6 第8番 ハ短調「悲愴」 作品13
(Beethoven Sonata No. 8 Op. 13 Pathetique)
ベートーヴェンのピアノソナタ第8番ハ短調作品13は、1799年に発表したピアノとオーケストラのためのソナタで「悲愴」の呼称があります。
「悲愴」という名はベートーヴェン自ら命名した数少ない作品のうちの一つと言われていますが、出版社がベートーヴェンの好みに合わせて命名したものという説もあります。
「悲愴」は全3楽章からなり、演奏時間は約19分。
ベートーヴェンが作曲した曲の中で最も早くから広く知られた曲であり、現在でもコンサートや録音などで多くの聴衆から愛されています。
・第一楽章のソナタ形式で始まるこの曲はソナタのロマンティックで悲哀に満ちた作風で緩やかな序奏主題で始まります。
・第二楽章はモーツァルトのソナタのゆったりとした第2楽章の主題と酷似しており、緩やかな流れから新しい旋律を導入しながら発展していきます。
・第三楽章はメディエントである変ホ長調に転調し、そして力強いロンドが展開されます。
ベートーヴェンの名曲7 ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 「月光」
(Piano Sonata No. 14 “Moonlight” in C sharp minor)
ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 (Quasi una fantasia, Op.27, No.2)は、ピアノのために書いた曲の中でも最も人気のある曲の一つで、「月光」、または「月光ソナタ」と呼ばれています。
1801年から1802年にかけて作曲されたこの曲は全体的に斬新な構成になっており、「幻想曲風のソナタ」(Quasi una fantasia)という副題があり、ベートーヴェンは従来のソナタ形式の曲ではなく、より自由な発想を持った曲である思いを伝えたかったのではないでしょうか。
この「月光」は一時弟子となっていたジュリエッタ・グッチャルディ伯爵夫人に捧げた曲で、ベートーヴェンは夫人に思いを寄せていたと言われています。
・第一楽章は、詩人ルートヴィヒ・レルスターブが「ルツェルン湖に輝く月光」のようだと評したように、夢想的で自由な即興曲のようです。
・第二楽章をリストはこの楽章を「2つの深淵の間の一輪の花」と評してるように、可憐な響きと旋律が心地よく感じられます。
・第三楽章は、打って変わって素晴らしい躍動感と流れる旋律、迫力のある響きは、すさまじくエネルギッシュで爆発的な思いを感じます。
最初の美しい旋律から、最終楽章の圧巻の旋律は本当に聞きごたえがあります。
ベートーヴェンの名曲8 ソナタ 第29番 変ロ長調「ハンマークラヴィーア」 作品106
(Beethoven Sonata #29 Op. 106 “Hammerklavier”)
ベートーヴェンのピアノソナタ第29番変ロ長調作品106は、第3期のピアノ作品の中において最も重要な作品であり、ピアノソナタとして最高峰の評価で知られています。
非常に難易度の高いソロ作品の一つで、その激しさと力強さから「ハンマーグラヴィーア」とも呼ばれています。
1817年の夏から1818年の晩秋にかけて作曲された作品で、感情の幅、複雑な技術、そして曲の長さは前作を凌駕し、全体を通して芸術的完成度の高さが評価されています。
モーツァルトやハイドンのソナタが3、2楽章であるのに対しベートーヴェンは4楽章を使用し、シューベルト、シューマン、ショパンもこの4楽章の構成を使用しています。
第1楽章の力強さと穏やかなピアノの楽節は技術力・表現力ともに激しさと繊細さ両方を必要とし、長いアダージョの部分は、表情豊かな難しい曲を表現しなければなりません。。
最終楽章ではフーガの目的からは外れた自由で荒々しく恍惚的で前例のない長さは演奏者の高い技術力を必要とします。
ベートーヴェンの名曲9 交響曲第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55
(Grosse Fuge Symphony No. 3 Eroica)
ベートーヴェンの交響曲第3番は作曲家達、もとより音楽史にも革新的なターニングポイントとなる大規模な作品です。
古典派とロマン派の間の移行期における画期的な作品として知られています。
1804年にベートーヴェンが尊敬の念を抱いているナポレオンを称える曲として作曲し、はじめは「ボナパルト」と命名する予定でしたが、ナポレオンが皇帝宣言したに落胆し、別の名称「エロイカ」と名付けました。
代わりに支援者であるフランツ・ヨーゼフ・フォン・ロブコヴィッツ皇太子に献呈しました。
・第一楽章は変ホ長調のソナタ形式で英雄的な風格があり、大きな展開部からドラマティックに展開されます。
・第二楽章は葬送行進曲で、コントラバスの響きのある低音により心が重くなるような迫力があります。
・第三楽章はスケルツォで、弦楽器と木管楽器の奏でる軽快なリズムの舞踏的で気持ちのよい楽章です。
・第四楽章は今までにはない、終楽章にフーガを伴う大規模な変奏曲をという形で次から次へと聞きごたえのある旋律が流れ、壮大なスケール感をもって堂々と結ばれます。
ベートーヴェンの名曲10 第5番 ハ短調 (運命) 作品67
( Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67)
交響曲第5番ハ短調作品67は「運命」という名でクラシック音楽の中でも最も有名な曲ですが、不吉な4音で始まるモチーフは、まさしく「運命」というどこか劇的で重苦しさがあります。
ベートーヴェン自身もこの最初のモチーフを「運命はこのように戸を叩く」と言っています。
逃れられない運命に引きずりこまれてしまうような迫力があり、この先どんなことが待っているだろうかと、不安な気持ちにさえなってしまうようです。
ベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調 作品67(運命)は、四楽章から構成されており、第一楽章は冒頭の「運命の動機(ジャジャジャジャーン」のような暗く重苦しい雰囲気がありますが、第二楽章、第三楽章では多少の波はありますが穏やかな雰囲気になっており、第四楽章では第一楽章とは反対に華やかで明るい曲調になります。曲の全体を通して暗から明へ、絶望から希望のような構図が見えます。
・第一楽章の静と動の対比は見事で、運命の荒波に翻弄される人生、人間の心の内側にある感情を表しているかのようです。
・第二楽章は一楽章とは対照的で、穏やかで喜怒哀楽はありますが平穏な人生の一端を感じられます。
・第三楽章は第一楽章のような重苦しさは感じられませんが、「運命の動機(ジャジャジャジャーン」と似た音型が随所で使われながら軽快なスケルツォの主題が繰り返されます。
・第四楽章は、困難を乗り越えて辿り着いた人生の集大成のような重厚感があるが華やかで明るいフィナーレとなっています。
【名曲解説動画】ベートーベンの傑作!交響曲第5番「運命」を解説!ベートーベンが表現したかったものとは?交響曲の理念とは?
ベートーヴェンは名曲と言われる曲数が非常に多く、現在でも最も多く演奏されている作曲家でもあります。
それは、ベートーヴェンが人の心に残るような素晴らしいメロディを生み出す独創的な感性を持っていた証でもあります。
今風の表現でベートーヴェンを表すとモーツァルトやバッハと同じく「神」ですね。
まさに神がかった作品を多く残した音楽史上最高の作曲家、音楽家の一人です。
人類が存続する限りこの作品たちは永遠に受け継がれ、語り継がれる存在なので、この機会にベートーヴェンの様々な作品・ジャンル作品を聞いてみて下さい。
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