ダヴィッド・オイストラフ
ダヴィッド・オイストラフ(David Oistrakh 1908~1974)は、現ウクライナのオデーサ出身のユダヤ系ヴァイオリニストです。
旧ソ連からやってきた名ヴァイオリニストとして、西側諸国に衝撃を与えた演奏家でもあります。
豊潤で深く美しいヴァイオリンの音色、心を震わせるビブラートは現在でも多くのファンがその演奏に魅せられています。
1942年にスターリン賞、1953年にソ連人民芸術家の称号、1960年にレーニン賞を受賞したまさにソ連の寵児ともいえるヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフですが、今回は歩んだ生涯と名曲、名盤CDの紹介をしていきましょう。
ダヴィッド・オイストラフは、ウクライナのオデーサで商人の子どもとして生まれました。
5歳の頃には、ピョートル・ストリャルスキーに師事して早くもヴァイオリンとヴィオラの勉強を始めています。
そして、1914年にわずか6歳でコンサートデビューを果たし注目を浴びました。
その後1923年にはオデーサの音楽院に入学し、1927年には19歳にしてコンサートのソリストとして活躍していたのです。
さらに活躍が認められサンクトペテルブルグフィルから演奏家としてオファーを受けました。
同年には活動拠点をモスクワに移し、リサイタルを単独で講演するまでになります。
この時期に妻であるピアニストのタマラ・ロタレヴァと出会い結婚しています。
1934年以降は音楽教育家として活動し、モスクワ音楽院で教鞭を取り、わずか31歳にして同音楽院の教授に任命されたのです。
教鞭をとる傍ら音楽活動も行い、1940年から1963年までオイストラフは、チェリストのスヴィアトスラフ・クヌシェヴィツキーとピアニストのレフ・オボーリンを含むトリオで幅広く演奏します。
この三人は「オイストラフ・トリオ」と呼ばれ、ソヴィエト連邦内で人気を博しました。
第二次世界大戦中も連邦内で音楽活動を続け、ソ連を代表する作曲家のショスタコーヴィチとの友情が開花し、ダヴィッド・オイストラフのために楽曲を提供するに至ります。
戦後は、冷戦によりダヴィッド・オイストラフを連邦内から出さずに演奏活動をさせます。
しかし、徐々に西側諸国にも演奏活動が許可されるようになり、1949年には北欧のヘルシンキで西側諸国最初のコンサートを、1951年にはイタリア・フィレンツェで「マッジョ・ミュージカル」音楽祭に出演します。
そして、最終的には1955年に米国ツアーを始め、その演奏に西側諸国は衝撃を受けました。
1960年代は、主に指揮者としての活動を開始します。
並行して演奏も実施し、途中心疾患で倒れるものの復帰し、コンサートやレコーディングで、ソビエト連邦の西側への主要な文化大使の1人として活躍しましたが、1974年に滞在先のオランダ・アムステルダムで心臓発作で亡くなりました。
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ダヴィッド・オイストラフの名曲・名盤
ダヴィッド・オイストラフの生涯を知ったところで名曲や名盤CDの紹介をしていきましょう。
・Violin Concertos
・メロディア稀少録音集
・David Oistrakh The Great Recordings
ダヴィッド・オイストラフの演奏がたっぷり詰まった2枚組のアルバムがViolin Concertosです。
ブラームスやチャイコフスキーなどの名曲をダヴィッド・オイストラフが次々に弾いていく構成になっています。
全てがセットになった5枚組のものもありますが、気軽に買い求められる2枚組のこのセットも十分ダヴィッド・オイストラフの魅力を感じられるでしょう。
メロディア稀少録音集は、1947年、1948年、1959年に録音されたダヴィッド・オイストラフの40代から50代の演奏が楽しめる名盤です。
ニコライ・メトネル作曲のヴァイオリン・ソナタ第3番 ホ短調「エピカ」Op. 57は演奏時間45分を要する長大な録音が圧巻です。
現モルドバ出身のアレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル(1875~1961)がメトネルの高難度なピアノ・パートを受け持ち、ダヴィッド・オイストラフと渡りあたっている様子は、アナログ録音であってもその場に立ち会っているような臨場感を与えてくれます。
David Oistrakh The Great Recordingsは、文字どおりダヴィッド・オイストラフの集大成ともいえる名盤です。
実に17枚にも及ぶ構成は、ダヴィッド・オイストラフの演奏を存分に楽しめるものとなっています。
1950年代から晩年の1970年代に至るまでの軌跡を一堂に集めており、ダヴィッド・オイストラフの年代による演奏の移り変わりすら感じられるようになっています。
また、モーツァルトやブラームス、シューベルトから当時の現代作曲家であるカレン・ハチャトゥリアンまで様々な作曲家の曲を聞くこともできるでしょう。
さらにアナログ盤そのままの収録ディスクから、新リマスターによる高音質のディスクまでセットになっており、録音技術の変遷を感じながら楽しめる名盤です。
オイストラフの希少CD・人気CD
音質が優れていることで人気の高いEMIのシングルレイヤー版SACD、ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲です。
豊潤なオイストラフのヴァイオリン・ソロを、クリュイタンスが優しく包み込み、至高の名演が堪能できます。
アンドレ・クリュイタンス指揮
フランス国立放送局管弦楽団
こちらも高音質で有名なESOTERIC SACDのブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77です。
晩年のオイストラフの演奏ですが、その技術は衰えておらず、熟年の感覚と技術が曲の良さを存分に引き出しています。
ジョージ・セル指揮
クリーヴランド管弦楽団
「フィリップスの神髄、24bitリマスターシリーズ」のオイストラフとオボーリンの名コンビによるベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番、5番「クロイツェル」、「春」です。
限定盤で、日本独自制作の96kHz/24bitデジタル・マスタリング盤となり、手に入りにくいため、中古市場でも高価になっています。
リヒテルとの作品。この2曲はオイストラフ唯一の録音で、非常に素晴らしい演奏です。
ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.100(1886) ライヴ
録音:1972年3月19日、モスクワ音楽院大ホール
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン・ソナタ ト短調Op.134(1968) ライヴ
録音:1969年5月3日、モスクワ音楽院大ホール
こちらもリヒテルとの共演作品。オイストラフとリヒテルの緊張感のある演奏で、聞きごたえのあるCDです。
こちらも晩年の作品で、卓越した技術というよりもオイストラフらしい味わい深さのある音色が味わえます。ブラームス フランク ヴァイオリン・ソナタ
ダヴィッド・オイストラフ(vn)
スヴャトスラフ・リヒテル(p)
1968年12月28日
モスクワ音楽院大ホール(ライヴ)
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オイストラフの動画
1968年 オイストラフ&ロジェストヴェンスキー チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
1968年、オイストラフがゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮でチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏したところ、大絶賛されました。
その演奏は「これまでに聴いた中で最も美しい演奏のひとつ」と評され、オイストラフは「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の巨匠」と評されました。
その解釈は「名人芸と叙情性の見事な融合」と評され、「表現力の強さ」と「ダイナミックレンジ」を賞賛されました。
オイストラフは音楽とチャイコフスキーの意図を深く理解しており、それが演奏に反映されていました。協奏曲の美しさ、深さ、感情を伝えることができ、ロジェストヴェンスキーはそれを支えながら鼓舞するバック演奏を提供することでこの演奏はオイストラフの最高傑作のひとつと評されるようになり、今日でもその記憶と賞賛を集めています。
オイストラフ&パウル・バドゥラ=スコダ モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ
ダヴィッド・オイストラフとピアニストのポール・バドゥラ=スコダが演奏するモーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、1972年に発売され、絶賛された録音です。
この録音はモーツァルトのヴァイオリン・ソナタの最も優れた録音の一つとして広く知られており、作品を生き生きとした表情豊かに解釈していることが評価されています。
オイストラフとバドゥラ=スコダの緊密なコラボレーションとダイナミックな相互作用は、このアルバムの特徴であり、全体的な魅力と魅力を高めています。
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ全6曲とイ長調のロンドを収録したこの録音は、オーストリアの偉大な作曲家のファンはもちろん、ヴァイオリニストにとっても必聴の1枚です。
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61 コンドラシン指揮
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61は、ベートーヴェンの最も愛する作品のひとつとされています。
この協奏曲は3つの楽章で構成されており、それぞれの楽章でソリストの名人芸と幅広い表現力が発揮されます。この曲は、名ヴァイオリニスト、ジョージ・ブリッジタワーのために書かれ、1806年にウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で初演されました。
キリル・コンドラシンが指揮し、ダヴィッド・オイストラフが演奏したこの曲の演奏は高く評価されています。
コンドラシンの協奏曲の解釈はその明瞭さ、情熱、熱意で注目され、オイストラフの天才的なテクニックと解釈の巧みさは、他の演奏にはない方法で作品に生命を吹き込みました。
ベートーヴェン、またはヴァイオリン協奏曲のファンにとって、この演奏は必聴です。
オイストラフ&リヒテル:ベートーヴェン&ブラームス・ソナタ(1970年ニューヨークでのライブ録音)
1970年にアリス・タリー・ホールで行われたオイストラフとリヒテルによるベートーヴェンとブラームスのソナタの象徴的なリサイタルは、史上最高のコンサートのひとつとされています。
この公演はリンカーン・センター室内楽協会のシリーズの一環で、オイストラフがヴァイオリンを、リヒテルがピアノを演奏した。
ベートーヴェンのソナタ第9番イ長調作品30とブラームスのソナタ第3番ニ短調作品108が演奏されました。聴衆は、音楽の強烈な強度と感情に魅了されました。オイストラフとリヒテルは、情熱と美しさに満ちた魅惑的な雰囲気を作り出して聴衆を魅了し、その驚異的な技術力と音楽的理解力を見せつけました。
この演奏は録音されCD化されるほどの成功を収め、このコンサートはオイストラフとリヒテル両氏の素晴らしさを証明するものとなっています。
ベートーヴェンとブラームスのソナタのライブ演奏は、今でも最も崇高で影響力のあるコンサートの1つとされています。
オイストラフ&メニューイン バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV 1043
J.S.バッハの 2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV 1043 は、J.S.バッハの最高傑作の 1つと見なされています。
快活なアレグロ、ゆったりとしたアンダンテ、快活で名人のヴィヴァーチェからなる3楽章の作品です。 この協奏曲は 1717 年に作曲され、2 つの独奏楽器のために書かれた数少ないバッハの作品の 1 つです。
この協奏曲は、1964 年にロンドンのクイーン エリザベス ホールでダヴィッド・オイストラフとユーディ・メニューインによって演奏されたことで有名です。 2 人のヴァイオリン奏者は、演奏を通して驚くべき音楽的理解と団結を示し、協奏曲の解釈が作品の美しさと複雑さを引き出しました。
オイストラフ・プレイズ・ツィガーヌ(ラヴェル)
ラヴェルの《ツィガーヌ》は1924年に作曲されたヴァイオリンのための演奏会用狂詩曲です。
ハンガリーのジプシー音楽からインスピレーションを得た狂詩曲的な曲で、ヴィルトゥオーゾ的な技巧を要する曲で、技術的な要求と荒々しい即興性が特徴です。
オイストラフの演奏する「ツィガーヌ」はこの曲の象徴的、もしくは決定的な解釈とされ、その激しさと情熱は高く評価されており、ハンガリーのジプシー音楽の高揚感やエネルギーを表現しながらそのメロディーの繊細な美しさも伝えています。
この曲は技術的、表現的な要求に加え、感情の深さと繊細さが要求されますが、オイストラフはこの作品にそれをもたらすことができました。
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